「夕暮れのバス停でバスを待つ人たちは、皆うつむいて地面を見ている。一年のうちでもめったに見られないきれいな夕焼けが広がっているのに、それを見ている人がいない。」と椎名誠がどこかに書いていました。今日の仕事やこれから帰る家のことをあれこれ考えたり、あるいは何も考えずぼんやりているうち、ふと顔をあげて、燃えるような夕焼けの広がる中に黒い山の稜線がくっきり浮かぶ光景を見て思わずハッとする、といった経験が誰にもあるでしょう。こんな時私はあの山に登ってみないといつも思います。最近はウオーキングが大変盛んです。なかでも尾瀬は人気がありますが、人気の秘密は水芭蕉、日光キスゲ、座禅草だけでなく、唱歌の歌詞「...はるかな尾瀬、遠い空」が人の心をかき立てることもあるように思います。
このところ政治や経済の先行きがみえません。さらに荒れる子供や失業の増加などもあってなんとなくの不安が広がっています。そしてマスコミや識者は「誰が悪い、やり方が悪い、ああすべきだ、こうすべきだ、日本はダメだ、日本人はだめだ」と言い立てます。その一つひとつにはそれぞれ理屈があってなるほどと思うのですが、どうも気を滅入らせるような記事が多く、みんなを元気づけるものが少ないように思います。これでは日本の景気も良くなるわけがないでしょう。日本人は中国人や韓国人と比べても先行きを悲観的にみるといいます。経済的な条件は日本よりきびしいのにこれらの国の人たちは将来にずっと明るい希望をもっているのです。ドラッカーは「日本人はなぜそんなに悲観するのか」といい、「日本の直面する最大の問題は経済でなく社会的な変化だ」としています(96.11.5日経)。日本人の不安の原因はこの社会的な変化が怖いためかもしれません。
これからの社会的な変化として次の点は確かでしょう。