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「携帯電話、インターネット」

 携帯電話が急激に増えています(図1)。駅、電車の中、公園で、あるいは歩きながら、どこに行っても何人かが携帯電話を耳に当てているという日常風景になりました。技術的には電話機の軽量化やディジタル化がどんどん進み、80グラム以下の電話機も登場しました。これらの技術が電子機器の高密度実装技術の開発を牽引しているといえるでしょう。一方、日本でもインターネットの本格的な普及がはじまり、名刺に電子メールのIDナンバーを入れるのが当たり前になりました。インターネット普及のおかげでパソコンの売れ行きが回復してきています。リタイヤした人たちにもインターネットを使ってみたいという人が多いようです。携帯電話やインターネットなど「情報」や「コミュニケーション」を扱う機器や産業が急拡大して、プリント板を含め電子機器産業はマーケットが広がり、技術も進んで、いいことずくめに見えます。NTTドコモ会長は「情報とか知識、エンタテインメントは生きていくためには必ずしも必要ではない。しかし、モノが充足して人間の欲求水準が高まると、モノ離れして内面的あるいは精神的な知的なものへしだいに向いてくる。ここに新しいマーケットが出てくる可能性がある。満ち足りた個人の消費は「情報」に向かう」といいます[1]。しかし携帯電話やインターネットの今の使われ方をみると、これからも今までのように一本調子に急速に伸びるとはいえないと思います。私たちは新しい製品や技術を追っかけるだけでなく、これら新製品がどのように使われ、社会の中でどのような役割を果たすか、について気を配り、先を見通していくことが、業界、企業が安定的に発展していくためには欠かせないでしょう。

 図2は主な電子機器の普及率の推移です[2]。どの電子機器も急成長の後、ある普及率で横這いになり、それ以降は買い換え需要だけが残ります。なお、テレビの普及率は83年以降99%がつづいています。VTRは80%位で飽和しましたが、グラフの動きからパソコン、ワープロなどは50%前後で飽和するのではないかと思われます。一方携帯電話は10月現在、加入台数4200万台に達していますが、すでに一家に1台以上にいきわたっている計算です。2000年には15歳から64歳までの生産年齢人口に対する普及率で80%以上になるとみられています。したがって今後は量的に大きな拡大は期待できないでしょう。

 携帯電話急増の主役は個人ユーザーです。今年は個人ユーザーが84%に達し、1/3は女性となっています[1]。携帯電話を持つ中学生や高校生が多いのは日本独特だといわれます。ばりばりのビジネスマンや宅配、工事業者などにとって携帯電話は大変便利な道具ですが、若者、子供たちにとって「ケータイ」は持っていないと肩身が狭い、はやりの遊び道具になっているのです。ただし彼らにそれほど緊急の用事があるわけではなく、「いま、どこ?」「いま、電車の中」といった他愛のないものが多く、連絡と言うより「さびしさの交換」や「友情の確かめ合い」になっているのでしょう(図3)。「ケータイ仲間」を大勢持っているのが自慢にもなるといいます。13歳から19歳までの携帯電話の通話料は1ヶ月平均8千円にも上り、5万円もざらとのこと[3]。中学生や高校生の小遣いではやりくりが大変で、その結果カラオケやデパートでの消費が減ったといわれます。携帯電話に食われた業界のことを「ケータイライバル」というそうです。「プリクラ」ブームは1年で終わりました。「たまごっち」は昨年国内外で3700万個も売れたのが今年は100万個いくかどうか、メーカーのバンダイは45億円の赤字見通しです[3]。

 現状は携帯電話の技術はハイテクですが、使い方はまだローテクにとどまっているといえるでしょう。ハイテク産業が安定的に成長していくためには、若者、子供のおもちゃだけでなく、「地についた使い方」の開発がこれから重要になるでしょう。携帯電話を使った情報のやりとりを「モバイル・コンピューティング」と呼び、将来大きく成長させたいと期待されています。ただし今のところは電子メールが中心(68.4%)で社内データベース検索、インターネット閲覧や受発注処理などの利用はすすんでいません。PHS電話機とパームトップパソコンをつないでインターネットでメールを送る「進んだ人」も少しはいますが、電子メールが「電子滅入る」の中高年も少なくないでしょう[4]。

 筆者はパソコン通信をやっていましたが、最近インターネットを始めました。これからメールやインターネットをやろうとする人や、インターネットに強迫観念を抱く人も多いと思いますので、最近の調査結果[5]などから2,3紹介します。

 まず、インターネットの情報サービス(WWW、注)は必要か、の質問に、Yesと答えた人は昨年の64.7%に対し今年は72.1%となっています。これはインターネットのユーザーを対象にしたアンケートですが、インターネットが役立つことは着実に認識されてきているといえるでしょう。では、何に利用するか。「ニュース、趣味、仕事など特定分野の情報を得る」ことを第一に挙げる人が56%、「友人知人との連絡(メール)」を挙げる人が29%で、この2つで85%を占めます。「特定分野に限らず、さまざまな情報を得る」といういわゆる「インターネット・サーフィン」を第一に挙げる人はまだ10%そこそこです。特定分野の情報を求めるユーザーがアクセスする定番WWWの数も意外に少なく、何万とあるWWWの中で10カ所以下というユーザーが大半(70.6%)です。盛り場にレストラン、飲み屋が軒をつらねていても一人一人が入るのはそれぞれの行きつけの店、なじみの店に限られるのと似ています。ショーウインドウをぶらぶら見て歩き、たまに面白そうな店に入ってみる、そうして世界が少しずつ広がっていくという形でしょう。

 インターネットはこれからのマルチメディアの本命として大きな期待がかけられています。ただ現状は、普及はすすんでいるものの期待ほど速くないため、なかなかビジネスにならないようです。プリント板関係でもホームページの開設がすすんできました。JPCAメンバー491社中131社(26.7%)が既にホームページを開設しています。米国(IPC)では100社(88.5%)、ヨーロッパ(EIPC)では42社(22%)がホームページを出しています。たくさんのホームページには企業イメージの向上を目指すものや、実質的に役に立つ情報を載せたものなどいろいろなタイプがありますが、広く読んでもらうためには、ユーザーにとって役立ち、気に入って繰り返し訪れたくなるような情報を載せたホームページを作り、維持していくことが重要と思います。初期画面のきれいさだけで何となくふらっと入ってくれる暇なお客はそんなに多くないでしょう。企業の宣伝だけでなく、役立つ情報が載っているホームページという点では外国企業が一歩進んでいるように思います。

 上の調査で「お気に入り」のWWWをどうやって見つけたかという質問があります。その回答によると「電子メールニュースで見た」と「関連するWWWからリンクした」の2つが圧倒的に多く、友人、知人に聞いた(口コミ)がつづいています。このほどJPCA事務局のホームページが次のアドレス(URLといいます)で開設されました。このホームページ自体もこれから充実してくるでしょうし、プリント板関係の企業や情報に関する役に立つWWWを探すのにも大いに活用できるでしょう。実際JPCAホームページから上記のJPCA,IPC,EIPCメンバーでホームページを開設しているところには数秒で飛んでいくことができるのです。

なお、JPCAホームページのURLは次の通りです。

http://www.jpcanet.or.jp/

注:World Wide Webの略で「ダブリュ ダブリュダブリュ」と読む。Webはクモの巣、網。

[1]「急伸した移動通信」(日経エレクトロニクス98/12/14)
[2]「消費動向調査」(経済企画庁)
[3]「ケータイ電話最新事情」(宝石99/1)
[4]「98年世相風俗」(朝日、天声人語98/12/18)
[5]インターネットユーザー調査(フジツウ・リサーチ・インスティチュート98/9)

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