1990年までは片面、両面、多層板ともに単価は一様に下落していきましたが、それ以降は片面、両面板ではひきつづき単価下落がつづいているのに多層板では逆に単価が上昇に転じています。その理由は多層板の内容が高多層化、高密度化により大きく変わったことによると推定されます。ここ数年はビルドアップ多層板の生産増加も寄与しているでしょう。もしこのような内容の変化がなかったら多層板の単価は片面板、両面板と同程度の値下がりになっていたと思われます(図3の細い点線)。表2からこの15年間に片面板は約7割(年率2%)に、両面板は約半分(年率4%)に単価が下落したことがみられ、多層板も1985〜1990の5年間では年率9%のかなり高い率で価格が下がっています。一方生産量(m2)でみますと片面板は横ばい、両面板は3倍弱の伸び
に対し、多層板は6倍の伸びになって、プリント板の主力が多層板に移行したことが分かります。
一つの疑問があります。プリント板は年々単価が引き下げられましたがそれでもこの15年で半分程度です。セットの価格はどうして5分の1、10分の1にまで下げられるのか。その理由はセットあたりのプリント板使用枚数の減少とプリント板の小型化です。現在プリント板の生産量はm2単位で集計されていますが半導体はサイズによらず個数で集計されます。プリント板でもモジュール基板は個数で集計した方が実際的でしょう。通常のプリント板も小型化が進むと1個いくらで取り引きされるようになるかもしれません。
さてこの先プリント板の単価はどうなっていくでしょうか。半導体の高集積化、高性能化(高速化)が一層進むことは確実であり、それに対応してプリント板の高密度化、高性能化への要求は今後さらに強まるでしょう。その技術開発には多額の費用と人手がかかります。しかしそのコストを製品単価に転嫁することは多分むつかしいと思います。図4の多層板単価の推移にみられるように機能、性能を上げながら価格は現在の水準を維持するのがやっとではないでしょうか。一方従来仕様の多層板の用途も残りますがその単価はこれまでの片面、両面板単価にみられるように今後も下がり続けると覚悟しなければならないでしょう。どちらもきびしい道と思われるでしょうが、今まで達成してきた道でもあります。1985年から15年、プリント板はずいぶん値下がりしましたがこの間に労務費比率(対売上高)は14.2%から13.2%にかえって低下していますし、材料費比率も上がっていないのです[4]。苦労はあるでしょうがこれからもコストダウンは十分実現可能と信じています。
注.表2は1994年〜1998年の半導体全体の生産量と単価の動きを示したものです[3]。この4年間に生産量は24%増となりましたが単価は16%下落しまし
た。