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JPCA NEWS 2003.4 JPCA Home / Back / Menu / 前号 / 次号 「花粉症、過敏症」 |
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このところ街を歩いて気づくのは大きなマスクをした人が多いこと。天気が良いのに散歩にも出られない、洗濯物が外に干せないという気の毒な人もいます。花粉症に悩まされる人が激増していますが、どうも不思議です。昔、花粉症などという言葉は聞かなかった。広辞苑を調べてみると今の版には出ているが、初版(昭和30年)には見当たりません。スギ花粉症は1964年(昭和39年)に日光で初めて報告されたのだそうです スギは花粉症の元凶として目の敵にされています。戦後、スギの植林を奨励した、そのスギ林が手入れがされずに荒廃した、などと指摘されていますが、スギは200万年前から日本に自生した植物であり北海道以外全国どこでも見られる木です。屋久島の縄文スギは日本人が一度は行って見たい場所であり、富山のスギの埋没林も有名です。各地の神社の森にはたいていスギの大木がありました。江戸の民家は多くは板葺きでしたが、その屋根は薄く割ったスギ板を並べ竹釘で留めたもの、浮世絵に描かれる桶もスギ、戦前の電柱もスギでした。日本の誇る木の文化はスギの文化だともいわれます。 スギと共存してきた日本人が急に花粉症にかかりはじめ、今や日本人の10人に1人、東京都内では5人に1人が花粉症といわれます。発病率はスギ林の近くに住む人より、ビルの立ち並ぶ街中での方が高い。実際、山歩きの途中でくしゃみが出ることは少ないのに、電車内でくしゃみがとまらずつらい思いをすることがあります。 花粉症はアレルギー疾患のひとつで発症は抗原抗体反応によります。「過敏症」という病気が増えていますがこれもアレルギーとほぼ同義語。アレルギーは「苦手、拒否反応」といった意味で病気以外にも使われるし、「過敏症」となれば現代人一般の傾向といえるでしょう。こんなことから筆者はアレルギーのしくみに関心をもちました。テレビ、新聞でたびたび解説されますが、素人ながら筆者なりの理解を以下に示します。
まず、抗原抗体反応は生体の維持に欠かせない自己防御の働きということ。くしゃみや鼻みずも異物を体外に排出するアクション、鼻づまりも異物に対処するため血流が増えて血管が腫れるためということです。何十種類もある花粉症の薬はどれも図の抗体反応のルートのどこか一ヶ所を抑える(抗ヒスタミン剤はヒスタミンの発生を抑える)だけのようです。生体に必要な防御機構の一部をとめるのですから、くしゃみ、鼻みずが止まったからといって安心しておれません。 生物はたくさんの細胞が連携してはたらく精妙なシステムですが、抗原抗体反応にしてもどうしてこんな複雑なしくみが必要になるのでしょうか。各細胞はリンパ球などから分化しますが、それぞれは狭い守備範囲を守っているだけのようで、全体を指揮している細胞はいそうにありません。どれが中心になって過敏なアレルギー反応を引き起こしているのか分かりません。政府、軍隊や大企業など組織の規模が大きくなると、こんな風に機能の分化が行われて、どの部署、個人にも全体が見えにくくなり、組織全体の行動をコントロールすることが難しくなるのと似ているでしょうか。 花粉に対する反応が過敏になった原因はよく分かっていません。大気汚染(ディーゼルエンジン排気中の微粒子が花粉に付着して、あるいはキズをつけて抗原性を増す)、農業汚染や食品添加物、住宅建材などが議論されています。寄生虫がいなくなったことも原因の一つという説もあります。 花粉症以外に昔はあまり聞いたことのない病気「過敏症」が増えているのにおどろきます。まず、化学物質過敏症。化学物質が自律神経に作用して、目、鼻、のどの痛み、頭痛、足のしびれ、さらには精神的な落ち込み、記憶力低下、勤労意欲がなくなるなどの症状を引き起こします。シックハウス症候群はそのひとつ。子どもの異常行動や落ち着きのなさ、学校に行くと気持ちが悪くなるというのも化学物質のせいかと疑われています。排気ガス、農薬や殺虫剤、プラスチックや新建材、食品添加物、洗剤など身の回りにある化学物質のごく微量が化学物質過敏症の原因になる。日本では今、10人に1人が化学物質過敏症ということです。 光過敏症は、普通の人にとっては問題ないレベルの低い日光を浴びて皮膚に炎症や水疱ができる過敏症です。また大腸過敏症というのもあります。腸の動きや働きが過敏になって、腹痛 ・腹満・便秘・下痢・粘液便を起こすもので、原因は、食生活の偏りや精神的なストレスなどといわれます(出勤時間、駅のトイレはいつも満員)。 それから、電磁波過敏症。この患者は、他の人が何も感じない微弱な電磁波でも、頭痛・めまい・吐き気・視力障害、不整脈・動悸・しびれを引き起こし、疲労感におそわれるといいます。症状の出る場所は、送電線の近く、電車の中、家電製品、パソコン、携帯電話、歯科のレントゲンや医療器具等が挙げられています。この症状で転居する人、携帯用アンテナ工事が差し止められた例も多いようです。しかし同じ環境でも症状が出ない人にはまったく出ないので、電磁波過敏症は一種の神経症(神経過敏、気のせい)ではないかと思われていました。 ところが最近、電磁波過敏症は単なる神経症ともいえない調査結果が報告されだしました。その一つ「国立環境研究所と国立がんセンターなどによる全国疫学調査によると、小児の「急性リンパ性白血病」は、超低周波電磁波による磁界が4ミリガウスを超えると発生率が2倍以上に増えることが確認された」[1]。4ミリガウス (mGと表記)を境に白血病の発生が大きく増加している(統計的に有意)ということです。この磁界の大きさは日常環境の4倍程度ですが、私たちはこれよりはるかに大きい電磁界に囲まれています。テレビ1〜20mG、電子レンジ40〜100mG、電磁調理器80〜300mG、送電線の下200mGなど。電気を使っていなかった祖先にくらべ、私たちの生活は2億倍もの電磁波や電磁界を浴びているとか。 北里大学医学部の実験。テレビを2台向かい合わせに置き、その間にスギ花粉症にかかったモルモットの巣箱を置きます。一定時間テレビをつけた後、モルモットにスギ花粉を点眼し、あらわれるアレルギー性結膜炎の程度を調べました。その結果、テレビをつけた時間が長いほど結膜炎も重くなることがわかったそうです。実験ではテレビの前面に黒幕をかけて映像は見えないようにしていました(なんだか手品のシーン、モルモットもかわいそう)。 どうも電磁波過敏症があることは確からしい。また、この電磁波から人体を守るというグッズもいろいろ出回っているようです。ただしその説明には従来の電磁気学やプリント板技術の本では見かけない表現が出てきて、オカルトっぽい感じを受けます。「α波帯域の超微弱磁気を発振し、人間の電磁場と適合する、快適かつ安全な電磁場環境をつくりだす。生体と共鳴する極微弱磁気発振装置。電磁生体両立性バイオテクノロジー」等々。これらグッズのユーザーの声も、肯定的ながらあいまいです。「なんとなく、肩こりが軽減され、目の疲れも以前ほどなくなったような気がします」「半信半疑で使ってみたところ、目の痛みと頭痛はほとんど無くなり、眠れなかったのが、快適に眠れるようになりました」など。 ある先生のいわく、「結局、身体の調子が悪くなるときは、どんな病気でもうつ病と同じ様な症状になっちゃうんです。頭やおなかが痛い、とかね」。 最近は、感受性が強いというか、神経過敏な人が多く、ぼんやりした人が少ないようです。体型も繊細でスマートになりました。若い芸能人はよく自分の感性を大事に生きるなどという。自分の感性によほど自信があるらしい。 いろいろな過敏症の研究、防止対策は必要でしょう。プリント板の周辺にもなんらかの原因が潜んでいそうです。その一方、化学物質、電磁波があふれ、ストレスのあふれる今の時代には、少し反応がにぶい、いちいち気にしない人の方が幸せなのではないかと思うのです。実際、過敏症の原因は増えつづけていますが、その間にも日本人の平均寿命は伸びているのですから。 |
| [1] | 「小児白血病と電磁波の関連「急性リンパ性」で顕著」(朝日03/1/29) |
